5月3日――新緑に包まれた吉野の里A M7:00、大峯の山並みへ選手たちが吸い込まれていきました。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を結ぶ225 km、累積標高17,000 mの“Pilgrimage Triangle”――関西最難関と呼ばれる山岳縦走路を4日間で踏破する「参詣道トライアングル(WPTR)」がスタート。
わずか完走者“7名”という数字に宿る偉大さ
記念すべき第1回大会のフィニッシュテープを切ったのは、わずか7名。完走率30 %にも満たない厳しさが、このコースの真価を物語ります。しかし、その7名の笑顔は“険しさ”を“輝き”へ反転させる力を持っていました。
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限界のその先へ
ゴール後、ある選手は「最高に楽しい時間をありがとうございました」と語りました。 -
途中で怪我をしてリタイアを余儀なくされた選手
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風速20m近い暴風の中進み続けた選手
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5/4 未明より降り始めた4mm程度の強い雨、そして吹き付ける10m近い風により低体温症と闘いながらリタイアを選択された選手
第1回大会の完走者はたったの7名でした。
大会を支えてくださったボランティアの皆様、応援メッセージを送り続けたご家族、ご友人、そして挑戦者自身の覚悟――その総和が「無事終了」というゴールテープを運営にまで届けてくれました。改めて、心より感謝いたします。
コースハイライト──三霊場を結ぶ“聖なる三角形”
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Stage 1:大峯奥駈道(100 km/D+9,000 m)
役行者ゆかりの修験道。大峯奥駈道無泊縦走は、
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距離・獲得標高・修験の歴史が三位一体となった日本屈指のハードルート
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「自給自足・自己判断」の総合格闘技であり、完遂時の達成感は別格
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救助困難地帯が連続し、一歩判断を誤れば命に関わる
コースの全体図
八経ヶ岳付近で夕焼け
この後、こんな天気が嘘のような暴風になります
熊野本宮大社 大斎原のフィニッシュシーン
ステージ1は12名の選手がフィニッシュしました。
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Stage 2:小辺路〜弘法大師の道(125 km/D+8,000 m)
5/4熊野本宮大社AM7:00に皆で参拝 快晴に恵まれ最高の天気の中ステージは進む
ステージ1でリタイアが数人出たもののまだまだみなさん元気です。
果無峠をこえ果無集落
伯母子岳山頂付近
高野山 大門に到着する頃にはすっかり夜
5/6未明から降り始めた大雨 ガスもひどくコースがわからない
厳しいコンディションの中フィニッシュの吉野駅に選手が帰ってきます
足の裏がふやけてしまっています
互いの検討を讃えあうスタッフと最終ランナーたちとで写真撮影
2027年大会概要──さらなる高みへ
苛烈さの裏側にある“価値”
このレースは単なる速さを競うものではありません。
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文化:世界遺産の霊場を身体で“巡礼”する稀有な体験。
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歴史:修験者が命を懸けた修行路を、現代のトレイルランナーが辿るタイムスリップ。
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コミュニティ:たった20人だからこそ生まれる濃密な絆。ゴール後には“仲間”を超えた“同志”が生まれます。
最後に――2027年、再び大会でお会いましょう!
隔年開催の参詣道トライアングル225kmは、2027年にさらなる進化を遂げて戻ってきます。
それでは、聖地で再びお会いできる日を、心より楽しみにしています。